平成30年3月に、文部科学省から小学校プログラミング教育の手引(第一版)(平成30年3月)が公開され、2020年から義務教育に導入されるプログラミング教育の目的や狙い、先行事例の紹介がされてきました。
これは、教育者の持つプログラミング教育への不安を払拭し、プログラミング教育の指導イメージを持ってもらうことを目的に取りまとめられています。
そしてその約8ヶ月後の平成30年11月に、小学校プログラミング教育の手引(第一版)の改訂版として「小学校プログラミング教育の手引(第二版)」が公開されました。
小学校プログラミング教育の手引(第二版)が公開された理由
第一版に加えて第二版が公開されたのは、2020年を待たずにプログラミング教育を先行的に実施する学校が増えてきており、より具体的な説明や新しい事例紹介をすることで、よリスムーズにプログラミング教育の導入が可能になると文部科学省が判断したことが理由に挙げられます。
では、どのような内容が追加されたのでしょうか。
小学校プログラミング教育の手引(第二版)のポイント
改訂のポイント1:取組事例の追加
プログラミングにおける学習活動には4つの分類がされています。
- A.学習指導要領に例示されている単元等で実施するもの
- B.学習指導要領に例示されてはいないが、学習指導要領に示される各教科等の内容を指導する中で実施するもの
- C.教育過程内で各教科等とは別に実施するもの
- D.クラブ活動など、特定の児童を対象として、教育家庭内で実施するもの
今回の改訂内容のポイントの一つ目は、A~C分類のプログラミング教育の取組例を追加したことにあります。
特にC分類(教育過程内で各教科等とは別に実施)は、学校の創意工夫によって様々な取組が考えられるため、学校の環境や教育者によって千差万別になりやすく、逆に言うと、何をしていいかわかりづらいカテゴリでもあります。そこで、より多くの事例を追加して示すことで、C分類におけるプログラミング教育のイメージを教育者に持ってもらおうという狙いが伺えます。
A分類(学習指導要領に例示されている単元等で実施)で追加された指導例
- 総合的な学習の時間:「まちの魅力と情報技術」を探求課題として学習する
- 総合的な学習の時間:「情報技術を生かした生産や人の手によるものづくり」を探求課題として学習する
B分類(学習指導要領に示される各教科等の内容を指導する中で実施)で追加された指導例
- 社会(第4学年):都道府県の特賞を組み合わせて47都道府県を見つけるプログラムの活用を通して、その名称と位置を学習する
- 過程(第6学年):児童水棺機に組み込まれているプログラムを考える活動を通して、炊飯について学習する
C分類(学習指導要領に示される各教科等の内容を指導する中で実施)で追加された指導例
- プログラミングの楽しさや面白さ、達成感などを味わえる題材などでプログラミングを体験する例
改訂のポイント2:外部からの協力を得た事例の追加
プログラミング教育が義務教育化するにあたり、コンピュータ環境や設備を整えるのに大きなコストがかかるケースも考えれらます。
また、今までプログラミングに触ったことのない教育者もいるため、プログラミング教育のための事前準備に時間が割けるのか、実際に教えることができるのか、という不安や疑問がありました。
このように、物的・人的資源を学校だけで準備するのは難しいケースもあるため、外部から協力を得た事例を掲載しています。
例えば、プログラミング研修をする講師を呼ぶケースや、企業からパソコンなどのデバイスを貸与するケースなどです。このような外部からの教区を得てプログラミング教育を実施した事例を紹介することで、学校事情に合わせて柔軟に環境整備できる方法をチェックすることができます。
企業・地域ボランティア・団体からのサポートを得た事例
教育委員会と企業との間で包括協定を結び、「研修」「プログラミング教育の実施」においてサポートを得た事例がありました。
これによって、教育者は企業のサポートを得て、プログラミングに慣れる機会を得ることができたり、プログラミング教育の年間計画、指導方針などをまとめることができています。
ICT支援員の研修なども、企業や大学・NPO法人にサポートしてもらうことで、教育者の負担を軽減しながら質の高いプログラミング教育を提供できた事例も掲載されています。
まとめ
このように、プログラミング教育という新しい取組が全国で一斉にスタートするにあたり、学校や教育者の不安を一つずつ払拭するために必要な情報が、小学校プログラミング教育の手引(第二版)に追記されていることがわかりました。