未来予想図〜メーカーはもう要らない?〜

個人向けメーカーと聞いて、まず頭に浮かぶのはトヨタやソニーやパナソニックといった大手企業ではないでしょうか。これらの企業では、様々な商品について顧客ニーズを調査し、新商品を企画し、大量生産しています。

しかし、「このようなプロダクト生産の流れは淘汰されて行く」というのが私の見立てです。(メーカーが消えるということではありません)

結論から言うと、メーカーの果たしていた機能はクラウドファンディング等を利用したベンチャー・グループ・個人が代替していくと考えます。一つ事例をご紹介しましょう。

市場価格の半額以下!注目が集まるクラウドファンディング

まずは、最近クラウドファンディングで「目標金額30万円に対し5324万円の資金調達を達成」したキーボードの事例をご紹介します。

参照元:Makeup https://www.makuake.com/project/taptek/

このキーボードは、クラウドファンディングによって、4000人の心を掴み、その結果5,300万円以上の資金を調達することができた事例になります。

このように、企画した商品が素晴らしく、実際に作り上げるプログラミング能力があれば、大手メーカーに就職しなくても、世の中にインパクトを与える商品を生み出すことができるようになっています。

また、生産者(ここではクラウドファンディングによって資金調達した側)とユーザーの距離が近いため、改善スピードも早く、より良い商品が次々に商品化されています。

このようなベンチャーメーカーが台頭してくることで、大手企業メーカーは変革を迫られるのは言うまでもありません。

欲しいものを”当事者”が作る時代

このような動きは、今後ますます加速化するでしょう。

その背景には、プログラミング能力の高い個人が増え、かつ個人でプロダクトできる環境が整いつつあるためです。例えば家庭用3Dプリンタを使えば、100円均一に売っているような収納ボックスは簡単に作ることができます。

なので、将来的には、ある主婦が「キッチンのあの場所にシンデレラフィットする収納ボックス。しかも真っ黒でカクカクしたデザインのものが欲しいんだけどなかなか売っていないんだよな〜」と思えば、自宅でデザインをして自宅で製作する未来は夢ではありません。

また、クラウドファンディングなどの仕組みによって、資金調達が容易にできるようになりました。「当事者が欲しいものを当事者が作る時代」は、もうそこまで来ています。

時代を先取りしている家電メーカーはソニー

実は、「当事者が欲しいものを当事者が作る時代」になることに気づいて動き出している企業があります。それは「ソニー」です。

ソニーはプログラミング学習キット「KOOV」を発売しています。KOOVは、プログラミングが初めてでも親しみやすいという特徴があります。これらのプログラミングキットを発売していることが、「当事者が欲しいものを当事者が作る時代」とどう関係してくるか説明しましょう。

近い将来、多くの子どもたちが言葉を操るようにプログラミングできる時代がきます。すると、個人はちょっとした電化製品くらいなら自作するようになるでしょう。そんな時代が到来した時、メーカーに求められるのは、個人が簡易的なプログラミングによってカスタマイズができる商品を作ることではないでしょうか。

そういう時代になった時、いち早く個人がカスタマイズできる商品をこの世に送り出せるのは、間違いなくソニーです。なぜなら、プログラミングキットの運用により、電化製品とプログラミングキットと商品をドッキングするノウハウがあるため、開発スピードが最も早くなるためです。

また、個人のプログラミングデータをキットを介して収集できれば、AIによる自動カスタマイズの精度をもっとも高く提供できるようになります。

現在、自動運転などの分野では世界に遅れをとる日本ですが、家電分野でのデータプラットフォームをいち早く独占できれば、日本メーカーの返り咲きは夢ではありません。

これらのことを踏まえて、ソニーがこの「KOOV」を発売している意味を考えると、プログラミング能力の価値がより鮮明になるのではないかと思います。

プログラミング能力で開花する子供達の未来

プログラミング教室「any」では、プログラミングコンテストを一つのゴールとしているので、様々なコンテストの受賞者についてコンスタントにリサーチをしています。

子供達が作ったプロダクトやWebサービスを見て感じるのは、「未来は明るい」ということです。自由な発想で、既成概念にとらわれることなく繰り出されるプロダクトやサービスには、大きな可能性を見出さずに入られません。コンテストの会場では、子ども一人ひとりの能力に周囲の大人たちが大いに魅せられています。

こどもエンジニアもんだいかいけつアイデアコンテスト受賞者のアイディア
「身近なところから問題を発見する力とアイデアの優しさに、事務局の大人たち全員の心が癒されました。そのネーミングセンスにも脱帽です! 」コンテスト事務局コメントから
https://makezine.jp/blog/2018/08/kodomo_engineer-2.html

そして、自分たちが作ったプロダクトやWebサービスが、社会で認められ評価され利用されることが、子供達のモチベーションに火をつけています。

自分の能力を信じ、評価してくれる人がいる。しかも自分の得意な分野で活躍できる。そんな子供達の明るい未来の実現は、「プログラミング能力」によってグッと確率が上がることは言うまでもありません。

そんな子供達が増えていけば、今起こっている混沌とした複雑な問題も、日本から解決できる日が来るのではないか、、、と感じる今日この頃です。