小学校編|プログラミング教育の目的

なぜ小学校でプログラミング教育が始まるのか?

2020年から、小学校でプログラミングが必修化されます。この背景には、AIの発展によって予測不可能な未来を、子供達が生き抜くための教育を行う必要性が出てきていることが理由に挙げられます。

AIの発展による予測不可能な未来とは?

一言で言うと、「人工知能によって人間の仕事が奪われる可能性がある未来」です。

このような表現をすると、”得体の知れない人工知能によって急に仕事が奪われてしまうのではないか”と心配される方もいるかも知れません。しかし、現在の生活の中でも「ロボットによる人間の仕事の代替」は起こっています。

例えば、一昔前、田植え〜稲刈り〜脱穀など人の手作業で行われてきました。しかし現在はコンバインと言う機械によって人の手で行う何十倍の速さで稲刈りと脱穀が行われています。

問題はその代替されるスピードと精度にあります。

例えば、自動車の自動運転技術は、近い将来、バスやタクシーやトラックの運転手の仕事を奪いかねません。このように、人工知能の発達によってそう遠くない未来に、人間の仕事の多くがロボットに奪わる時代が訪れようとしています。つまり、今当たり前にある仕事が近い将来なくなってしまうような大転換時代を迎えているのです。

詰め込み教育の終焉

では、これからの将来を見据えた時、今までのように知識詰め込み型の教育を受けた子供達が、人工知能よりも優って仕事をすることができるのでしょうか。

答えは「NO」です。

知識だけを詰め込むことは、機械やAIがもっとも得意とするところです。人間の記憶量や正確さは、AIに及びません。つまり、今までのように知識を詰め込むだけの教育を受けても、生き抜くことが難しくなってくるのです。

人工知能を使いこなす側になるために

子供達が大人になった時、人工知能に仕事を奪われる側ではなく、人工知能をうまく利用しながら仕事をする側になるためにどんな教育が必要なのか。このような議論が繰り返され、様々な教育について検討した結果、「小学校からのプログラミング教育が必要だ」と国が判断したのではないでしょうか。

人工知能による大転換時代について詳細を知りたい方には以下の本をお勧めします。
「仕事消滅 AIの時代を生き抜くために、いま私たちにできること (講談社+α新書)」

第4次産業革命とは

第4次産業革命までの歴史

産業革命とは、産業上の飛躍的な生産性アップを可能とする技術革新のことを主に指しています。現在に至るまで第1次〜第3次産業革命がイギリスをはじめ、アメリカやドイツなどで発生し、その後の産業に大きな影響を与えてきました。

現在も、第4次産業革命が進行形で進んでおり、日本だけでなく様々な先進国の経済界で熱い注目を浴びています。

そんな産業革命ですが、これまでの産業革命の歴史について簡単にご紹介します。

第1次産業革命

第1次産業革命とは、イギリスで1700年代後期〜1800年代前期に起こりました。その内容は、それまで手動で行ってきた運搬・製造などの作業を、蒸気機関をエネルギー源として「より早く、より効率的に」実施できるようになった産業革命を指します。

第2次産業革命

第2次産業革命とは、アメリカやドイツを中心に1800年代後半に起こりました。その内容は、動力として蒸気機関ではなく電気を用いたことによって「より早く、より正確に、より安定的に」製造や運搬が可能になりました。

第3次産業革命

第3次産業革命とは、1900年代後半に主に先進国にて起こりました。第3次産業革命を支えた技術革新は、コンピュータの台頭です。コンピュータによって、様々な工程が機械化・自動化されることによって、作業のスピード・量・質において飛躍的な向上を果たしました。

第4次産業革命とは

そして、現在注目を浴びているのが第4次産業革命です。この第4次産業革命を支えている2つの要素は、AIとビッグデータです。コンピュータのネットワーク化で、様々な情報が大量に収集できるようになりました。これらの情報を自動的に分析し、その分析結果によって命令をしなくとも最適な解を瞬時に提供できる技術革新が進められています。これによって、「人間の英知をはるかに超える時代がやってくるのでは?」「人間の仕事がAIに奪われる日が来るのでは?」という憶測が飛び交うほどです。

このように、未来の予測が難しい時代を目前に控えている今だからこそ「生き抜く力」を備えておくことが重要視されています。