IE-Schoolとは?(小学校のプログラミング教育事例)

IE-Schoolとは、2020年から始まる小学校プログラミング教育過程の義務教育化を踏まえて、事前にプログラミング教育の指導体制や授業設計について現場研究が行われている学校を指します。

IE-Schoolに指定された14校

IE-Schoolとして指定されたのは14校あります。

今回は、そのうち小学校をメインとした6校のプログラミング教育の先行事例をご紹介します。先行してプログラミング教育を実行していく中で見えてきた成果と課題についてもそれぞれの学校別にチェックすることができます。

  1. 一宮市立末広小学校
  2. 立命館小学校
  3. 草津市立志津南小学校/草津市立玉川小学校
  4. 信州大学教育学部附属長野小学校
  5. 福岡教育大学附属久留米小学校
  6. 新居浜市立金子小学校

一宮市立末広小学校 

プログラミング教育の内容

一宮市立末広小学校では、小学校5年生を対象に家庭科の授業で「めざそう 買い物名人」というテーマで、(1)様々な商品情報が入っているタブレットPCを使って、買い物をする際に必要な情報を自分たちで選び、(2)グループで選んだ商品を、タブレットPCを使って発表させる、という授業を展開しました。

プログラミング教育の成果

一宮市立末広小学校で実施されたプログラミング授業の成果として、以下の点が報告されています。

  • 子供達がScratchを使用する中で試行錯誤しながら意欲的に授業に取り組めた点
  • タブレットなどのICT機器を利用することによる教員負担の軽減
  • タブレットなどに不慣れな教員に対してICT支援員がフォローしたことで、ICT機器を利用した授業の展開ができた点

プログラミング教育の課題

一方で、プログラミング教育の課題として挙げているのは、以下の点でした。

  • Scratchなどのビジュアルプログラミング言語を使用せずにプログラミング的思考を育成する方法の検討
  • 年齢に応じた情報モラルの授業展開になっていたかを再検討する必要がある

このように、実際にプログラミング教育を開始するにあたり、「ICT機器への対応」「ICT支援員のフォロー内容」「Scratchなどのプログラミング言語への対応」「情報モラルの教育内容」などが検討事案・課題に上がっていることがわかります。

立命館小学校 

立命館小学校では、小学校6年生を対象に情報の時間で「プレゼンテーション講座」という単元でプログラミング教育を実施しました。

その内容は、(1)一人1代台のタブレットを用いてプレゼンテーションしたい内容についてスライドを作成し、(2)その内容を発表発表させる、という授業を展開しました。

プログラミング教育の成果

立命館小学校で実施されたプログラミング授業の成果として、以下の点が報告されています。

  • 学年ごとに育成すべき情報活用能力の明確化
  • 教員の方に対して、国内外の先行事例の共有と新しいツールを使用することによって、様々な教科で本校独自のプログラミング教育が展開された
  • 文部科学省が公表しているプログラミング教育で育成したい「三つの柱」などを踏まえた年間教育計画の構築

プログラミング教育の課題

一方で、以下のような課題も挙げられています。

  • 本年度に策定した年間指導計画や指導内容などを、外部の評価も踏まえて改善していくこと
  • 外部の評価は、公開授業や学会の発表などを検討している

草津市立志津南小学校/草津市立玉川小学校 

草津市立志津南小学校/草津市立玉川小学校 は、2つのプログラミング教育事例があります。

一つは、小学校5年生を対象に図画工作・総合的な学習の時間で実施した「コマコマアニメーション」と題して楽しいデジタル作品をつくるプログラミング教育を実施しました。

この授業では、一人1台のPCでScratchを用いてアニメーションを作成しました。この作成にあたっては、立命館大学情報理工学部システム学科の協力を得て、分からないことがすぐに聴ける環境配備を行ないました。

二つ目の事例は、小学校6年生を対象に理科の授業で「てこのはたらき」を学ぶ際にプログラミング教育を実施しています。

この授業では、タブレットPCに示したてこの動きに関する予想や結果を、画面共有システムを活用してスピーディに共有して問題解決に役立てたり、タブレットを使用して情報の収集等に使用しています。

プログラミング教育の成果

プログラミング授業の成果として、以下の点が報告されています。

  • プログラミング的思考を学ぶ問題に、繰り返し挑戦することで問題解決能力、想像力、論理的思考が育成された。
  • 教員の方に対して、国内外の先行事例の共有と新しいツールを使用することによって、様々な教科で本校独自のプログラミング教育が展開された
  • 文部科学省が公表しているプログラミング教育で育成したい「三つの柱」などを踏まえた年間教育計画の構築

プログラミング教育の課題

一方で、以下のような課題も挙げられています。

  • プログラミング教育を単発で終わらせるのではなく、継続して行う仕組みづくり

信州大学教育学部附属長野小学校

信州大学教育学部附属長野小学校では、小学校3年生を対象に理科の授業で「ロコの家まで届くかな 光る豆電球」という単元でプログラミング教育を実施しました。

その内容は、豆電球の電気をモデル化するにあたって動画やアニメーションを用いて実施しました。

プログラミング教育の成果

信州大学教育学部附属長野小学校で実施されたプログラミング授業の成果として、以下の点が報告されています。

  • Scratchを使用したプログラミング活動も実施できた。
  • 協働学習システムを使用して、子供達の意見の吸い上げ、整理、比較しながら示せる方法は、様々な教育現場で応用できそうであるという発見。

プログラミング教育の課題

一方で、以下のような課題も挙げられています。

  • 教科学習や総合学習の時間の中で、目標を達成するツールとしての利用が実施できなかった。

福岡教育大学附属久留米小学校 

福岡教育大学附属久留米小学校では、小学校5年生を対象に情報科の授業で「パスワードの管理」という単元でプログラミング教育を実施しました。

その内容は、パスワードの管理方法についてPCを利用して学び、実際にPCを使ってパスワード設定するという内容です。

プログラミング教育の成果

福岡教育大学附属久留米小学校で実施されたプログラミング授業の成果として、以下の点が報告されています。

  • プログラミング教育として身につけさせたい能力や素質を明確にすることができた。
  • 授業を受けた子供達のフィードバックをアンケートを用いて実施することができた。

プログラミング教育の課題

一方で、以下のような課題も挙げられています。

  • どの教科・どの単元にプログラミング教育を関連づけて実施するかが不明確だった
  • 低学年向け教材が未開発な点

新居浜市立金子小学校 

新居浜市立金子小学校では、小学校5年生を対象に総合的な学習の時間・体育科の授業で「命と命でつながろう・けがの防止」という単元でプログラミング教育を実施しました。

この授業では、より良い生活をするための情報収集や、発表の場で使用するプレゼンテーションツールをプログラミング要素として取り入れています。

プログラミング教育の成果

新居浜市立金子小学校で実施されたプログラミング授業の成果として、以下の点が報告されています。

  • プログラミング教育から、相手がいること、相手からフィードバックを受けることを通して、自分の成果物を振り返ることができる点
  • アクティブラーンングの観点から創造的な学習活動にすることができる点。
  • 積極的にICT機器を導入することにより、授業の質向上や教員の意識変革に寄与した。その結果、教員のICT機器の使用率が上がり効果的にICT機器を授業に取り入れることができるようになった点。

プログラミング教育の課題

一方で、以下のような課題も挙げられています。

  • 教員全体で、プログラミング教育の目的などを統一して情報活用能力について具体的にわかりやすくまとめる必要性がある
  • 情報モラルに関する教育内容、その年間計画の策定の必要性がある