プログラミングの必要性

世の中には「プログラミングができなくてもプログラミング的思考力がつけばいい」と思っている方も少なくありません。

しかし、プログラミングを学んだ経験者として言わせてもらうと、それは「今に限った話」であってお子さんが社会人になる頃には必須スキルの一つになっているでしょう。

「仕事ができる」の定義にプログラミングスキルが入ってくる

よく、「あの人は人の二倍働くね」なんて言いますが、プログラミングができると人の百倍はアウトプットできるようになります。プログラミングを導入する前と後で一人あたりの生産性が指数関数的に上がるためです。一人で一人分のアウトプットしかできない人と一人で百人分のアウトプットができる人がいたら、資本主義の観点からシンプルに経営者は前者を採用するでしょう。

日本のプログラミング教育の遅れ

2020年からプログラミング教育が小学校でも義務教育化されますが、この流れは世界を見ると遅れをとっていると言わざるを得ません。諸外国のプログラミング教育

世界でも、プログラミング教育の流れが出てきているのには理由があります。それは、今までの教育プログラムでは、次世代を担う力が培われない、むしろ今までの教育プログラムのままではAI(人工知能)に代替されてしまう可能性が高まっているためです。

AIの活用が期待される分野

AIの発展により、今ある仕事の半分はAIに成りかわると言われています。現在も、進行形でバスやタクシーなどの自動運転技術は進歩しており、2018年6月に公表された未来投資会議では、2020年をめどに行動で無人で走る自動運転バスなどの走行をスタートするとしており、2030年までには全国100箇所以上で展開することを決定しています。これに伴い、ニーズの高まるAI人材増加策としてプログラミングを学ぶ情報Iを大学入学共通テストに盛り込む方針を出しています。

定型の仕事はどれだけ淘汰されるのか?

平成30年の5月に野田総務大臣が出した資料「未来をつかむTECH戦略」によれば、AIやIoT時代の到来によって2015年から2030年までに定型業務に携わる人数は386万人減少すると想定されています。

このようなAI/IoT時代の到来に先駆け、政府は以下のような施策を提言しています。

  • トップレベルのスキルを備えた人材の育成・確保
  • 社会人がAI/IoT時代に活躍できるようなスキルアップ
  • 社会全体のAI/IoTリテラシーをあげる施策

それぞれの施策について、具体的に見ていきましょう。

トップレベルのスキルを備えた人材の育成・確保

この施策では、まず「若年層の起業家・トップイノベーターの育成支援」が掲げられています。将来にわたり、AIやIoTなどのTECHを用いて起業する人・最先端の研究開発からの起業などは国を挙げて支援されるため、社会に必要とされる人材だということになります。

起業するためには、秀でた技術力・問題発見能力・解決能力・人脈・強靭な精神力が必要になります。これらの要素は短期的に身につくものではなく、幼い頃からIoT技術を用いて問題解決する経験を積むことが必要だと感じています。

次に掲げられているのが「IoT時代のネットワーク・セキュリティなどの高度人材の確保」です。具体的には、ネットワークの運用・管理ができる人材育成などが行われる予定です。

IoTといっても、開発・分析など様々な分野がある中で、セキュリティ分野の人材は明確に必要と明示されていることが、ここから読み取れます。この背景には、セキュリティ分野がわかりづらい、とっつきにくい分野であるため担う人材が少ないという問題があると思います。逆に言えば、この分野でスペシャリティになれば、「食いっぱぐれることはない」ということを意味していると思います。

社会人がAI/IoT時代に活躍できるようなスキルアップ

次に時代に則した人材のスキルアップを支援する施策を紹介します。この施策は、地方やユーザ企業で不足している社会人の教育を目的に行われるものです。具体的な施策数は3本あり、詳細は以下の通りとなります。

一つ目は「データサイエンティストの育成」です。講座や学習サイトの提供を行うことで、データサイエンス力の高い人材を育成する施策となります。

二つ目は「地方公共団体職員等のICTスキルの向上」です。自治体CIOや地域におけるオープンデータ人材の育成のために研修を実施する施策となります。

最後が「IoTのユーザ起業等におけるスキル向上」です。これは、ユーザー企業等の経営者などに対する講習会を実施する施策となります。この施策から、今後顧客データ等を扱う企業経営には情報スキルが必要になることを意味しています。逆にいうと、情報スキルがない経営者は時代に取り残されるといっても過言ではないでしょう。

社会全体のAI/IoTリテラシーをあげる施策

最後の「社会全体のAI/IoTリテラシーをあげる施策」として挙げられている施策を紹介します。この施策の目的は、社会全体がAIやIoTの恩恵を受けるためには、全ての人に情報リテラシーが必要になるという考えのもと設けられています。具体的な施策は2つあります。

一つは地域ICTクラブの構築です。これは地域で子供や学生だけでなく、社会人や高齢者がプログラミングなどのICTを楽しく学び合い新しい時代の絆を作るための仕組みづくりを施策として行います。

二つ目は、ICT利活用推進委員の創設です。高齢者がICT機器の操作等について気軽に相談できる地域の身近な存在として、ICT活用推進委員の制度を創設しようというものです。ICT機器に不慣れな高齢者でも、生活の質を向上させる機器の利用に必要な情報リテラシーを地域の力で担うという構想になります。

このように、国を挙げて行う施策をチェックしても、今後、いかに情報スキルが必要になるのか分かっていただけたのではないでしょうか。

翻ると、情報リテラシー・スキルはこれからの時代を生きていく中で必須になるということになります。これから出てくる便利なICT機器を利用するにも情報リテラシーが必要になる時代です。子供達に今からAI/IoTに触れさせることが、生き抜く力を培うことになります。