STEM教育

STEM教育とは?

Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)Mathematics(数学)の頭文字をとったもので、高度な STEM リテラシーを備えた人材の育成を目的とした教育を指します。

アメリカでは、国家能力の中枢を担っており、今後も世界の政財界をリードし続けるためにSTEM教育を官民共同で強化していくことを2013年の「FEDERAL SCIENCE, TECHNOLOGY, ENGINEERING, AND MATHEMATICS (STEM) EDUCATION 5-YEAR STRATEGIC PLAN」で公表しています。

STEM教育が重要視される理由

STEM人材の不足を補うために

一つはSTEM人材の不足を補うためです。具体的には、2010 年から 2020 年までの間に、STEM 関連の職業需要は全体で 14%増加すると予想されています。特に、システムソフトウェア関連の職業については 32%、医療科学関連は 36%、更に生物医工学関連においては62%の増加が予測されているにも関わらず、この10 年間の STEM 分野学位取得者が 100万人不足することが課題とされていました。

将来の問題解決に必要なスキルだから

また、2011年にマイクロソフト社がSTEM教育を受けている大学生とK-12※世代の親を対象に行った調査では、「STEMは世界の深刻な問題を解決するのに役立つ」と回答した人が90%以上いることがわかっています。

この調査結果からも、21世紀を生き抜くために必要な力としてSTEM教育が注目されていることが伺えます。

H28年度_国際学術交流研修海外実務研修報告集.indd より

※K-12…アメリカにおける「幼稚園の年長(KindergartenのK)から始まり高等学校を卒業するまでの13年間の教育期間」のこと

wikipedia

STEM教育と謳っているプログラム

では、実際にSTEM教育をやっていると謳った教室やプログラムを調べてみると、STEMを全てカバーしている教育プログラムはまだ存在していないように感じます。

その背景には、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)Mathematics(数学)を一手に教えられる人材がいないという事情があります。

私の感覚では、ロボットプログラミングなどを使ってTechnology(技術)、Engineering(工学)まではできていても、Mathematics(数学)を使ってより効率的にプログラミングをしたり、学んだプログラミングスキルをScience(科学)まで生かすという動きまでは行けていないというのが現状ではないでしょうか。

STEM教育をオールカバーするには、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)Mathematics(数学)をマスターし、かつ順序立てて子供達の理解度に合わせて提供する力が必要です。

現在はプログラミング教育が注目を集めているので、今プログラミングを学んだ子供達が成長してあと5年もすれば、STEM教育を体系立てて学べる環境が整ってくるのではないかと思います。

あらゆることが自動化する時代へ

プログラミングの台頭であらゆることが自動化する時代へ

プログラミングによって様々なことが機械で代替できる時代がきました。この流れは、今後ますます加速していくでしょう。

現在でも、食洗機や洗濯機、ロボット掃除機などもそれまでは人の手で行われてきたことが機械によって代替されています。これらの機械が出てきたことによって、家族との時間や読書など、自分たちがやりたいことに時間が割けるようになったのではないでしょうか。

生活に欠かせなくなりつつあるこれらの機械は、今後も進化を遂げ、生活を豊かにしていきます。この機器の性能を支えているのがプログラミングです。この文章を読んでいる方の中には、これからの時代、英語と同様にプログラミングスキルが求められると感じている方も多いのではないでしょうか。

プログラミング教育だけではいけない理由

プログラミングというと、小学校のプログラミング教育の義務教育化という言葉に流されて、「うちもプログラミングを習わせるべきかしら」と頭を悩ませてしまいがちです。私自身も、「子供には小さい時からプログラミングに親しめる環境を整えてあげたい」と思っていました。

しかし、子供を産んで感じたのは、プログラミングはあくまで道具であって本当に重要なのは「プログラミングを使って何をするか」という点です。この部分をおざなりにしては、プログラミング教育を受けても宝の持ち腐れになります。

プログラミングを学ぶ意欲を左右する大切なこと

プログラミングのような便利な道具は人生を豊かにしますが、それが何のために使われるのかという目的を失っては学ぶ意欲に火がつきません。

私自身、中学から高校にかけて数学がとても苦手だったのですが、それが大学に入ってから苦手意識はなくなり、研究論文では数学の知識がないと扱えない人工知能を使った画像認識のプログラミングをするまで知識を広げることができました。

この理由は何なのか、と考えてみると、いま学んでいることが社会にどのように役に立つのかイメージできるか否かの差なのだとわかりました。

なので、私が子供達にプログラミングを教える時には、「解決したい問題は何なのか」「その問題をプログラミングを使った時にどんなメリットがあるのか」について考えさせながら、プログラミングを学ばせたいと思っています。

プログラミングと一緒に問題意識を持つ習慣づくりが鍵

しかし、急に子供達に「今の世の中、どんな問題があるのかな」と問いかけをしてみても、答えようがないのは当たり前の話です。

そこで、1日5分でも「社会について考える機会」を設けたいと思っています。そうすることで、社会について考える癖がつき、その背景にある因果関係を考える訓練になります。この繰り返しが、問題意識を育み、問題を発見する力につながります。

問題を見つけた後は、問題をどう解決するかについてブレストしていき、様々なアイディアを試す訓練をしたいと思っています。この工程を経て、アイディアを出すコツやアイディアを試行錯誤する楽しさ・苦しさを学ぶことが、大人になった時に活きてくると感じています。

逆にいうと、この「問題発見」と「問題解決」が「プログラミング教育」とセットになっていない場合、スクラッチなどのプログラミングを一時的に体験しても、その子の人生にとって本当に活かせるスキルにはならないと感じています。

学習指導要領の改訂によるプログラミング教育の充実

平成29年3月に小学校及び中学校、平成30年3月に高等学校の新学習指導要領が告示されました。その内容は、新学習指導要領を小学校は平成32年度、中学校は33年度から全面実施。高等学校は34年度から学年進行で実施していくというものです。

この新学習指導要領によって、プログラミング教育と統計教育の充実を目標にしています。

プログラミング教育の充実

プログラミング教育を充実していく理由は、第四次産業革命によって発達したAI/IoT技術の時代に生き抜く力として、言語能力に加えて情報活用能力が学習の基盤となる資質・能力とし位置付けたことが挙げられます。

今後、小学校は平成32年度、中学校は平成33年度、高等学校は平成34年度から学年進行で実施していくことが決まりました。

平成32年度から始まる小学校でのプログラミング教育では、算数や理科、総合的な学習の時間を使って、プログラミングを体験しながらコンピュータに意図した処理を行われるために必要な論理的思考力を身につけさせるための学習活動を実施するとしています。

平成33年度から始まる中学校のプログラミング教育では、技術・家庭科(技術分野)でプログラミング教育を充実してきます。具体的には、「計測・制御のプログラミング」に加えて、「ネットワークを利用した双方向性のあるコンテンツのプログラミング」について学ぶことがわかっています。

平成34年度から始まる高等学校におけるプログラミング教育は、情報化において共通必履修科目「情報I」を新設し、全ての生徒がプログラミングのほか、ネットワーク(情報セキュリティを含む)やデータベースの基礎等について学習することが決まっています。

統計教育の充実

新学習指導要領のもう一つの目玉は、統計教育の充実にあります。

小学校の算数において「データの活用」の領域を新設するなど、小中高等学校を通じて統計教育を充実させることが明記されています。

具体的に「データの活用」領域で追加された主な内容は、以下の通りです。

  • 小学校3年:複数の棒グラフを組み合わせたグラフなどを追加
  • 小学校4年:複数系列のグラフなどを追加
  • 小学校5年:複数の帯グラフを比べることを追加
  • 小学校6年:中央値や最頻値などを追加
  • 中学校1年:累積度数を追加
  • 中学校2年:四分位範囲、箱ひげ図を追加

また、統計に関する追加された主な内容は以下の通りです。

  • 数学I:仮説検定の考え方(新設)
  • 数学A:期待値(新設)
  • 数学B:区間推定、仮説検定(新設)

数値的思考やデータ分析・活用能力が必要な時代へ

このように、国を挙げて数理的思考やデータ分析・活用能力を持ち、社会における様々な問題の解決・新しい課題の発見ができる人材、そしてデータから価値を生み出すことができる人材の育成が今後ますます注力されていくことがわかります。

大切なのは、身の回りにある様々なデータに触れる機会とそこから得られる知見、そしてそれらの知見をどのように社会に生かしていくかという姿勢そのものかもしれません。

プログラミングも統計学も一見敷居が高いように感じますが、ステップを踏みながら触れる機会を増やすことで必ず身に付けることができます。10年後、20年後を見越したときに、これからの時代を生き抜くために子供達に身につけてほしい能力の一つだと感じています。

プログラミングの必要性

世の中には「プログラミングができなくてもプログラミング的思考力がつけばいい」と思っている方も少なくありません。

しかし、プログラミングを学んだ経験者として言わせてもらうと、それは「今に限った話」であってお子さんが社会人になる頃には必須スキルの一つになっているでしょう。

「仕事ができる」の定義にプログラミングスキルが入ってくる

よく、「あの人は人の二倍働くね」なんて言いますが、プログラミングができると人の百倍はアウトプットできるようになります。プログラミングを導入する前と後で一人あたりの生産性が指数関数的に上がるためです。一人で一人分のアウトプットしかできない人と一人で百人分のアウトプットができる人がいたら、資本主義の観点からシンプルに経営者は前者を採用するでしょう。

日本のプログラミング教育の遅れ

2020年からプログラミング教育が小学校でも義務教育化されますが、この流れは世界を見ると遅れをとっていると言わざるを得ません。諸外国のプログラミング教育

世界でも、プログラミング教育の流れが出てきているのには理由があります。それは、今までの教育プログラムでは、次世代を担う力が培われない、むしろ今までの教育プログラムのままではAI(人工知能)に代替されてしまう可能性が高まっているためです。

AIの活用が期待される分野

AIの発展により、今ある仕事の半分はAIに成りかわると言われています。現在も、進行形でバスやタクシーなどの自動運転技術は進歩しており、2018年6月に公表された未来投資会議では、2020年をめどに行動で無人で走る自動運転バスなどの走行をスタートするとしており、2030年までには全国100箇所以上で展開することを決定しています。これに伴い、ニーズの高まるAI人材増加策としてプログラミングを学ぶ情報Iを大学入学共通テストに盛り込む方針を出しています。

定型の仕事はどれだけ淘汰されるのか?

平成30年の5月に野田総務大臣が出した資料「未来をつかむTECH戦略」によれば、AIやIoT時代の到来によって2015年から2030年までに定型業務に携わる人数は386万人減少すると想定されています。

このようなAI/IoT時代の到来に先駆け、政府は以下のような施策を提言しています。

  • トップレベルのスキルを備えた人材の育成・確保
  • 社会人がAI/IoT時代に活躍できるようなスキルアップ
  • 社会全体のAI/IoTリテラシーをあげる施策

それぞれの施策について、具体的に見ていきましょう。

トップレベルのスキルを備えた人材の育成・確保

この施策では、まず「若年層の起業家・トップイノベーターの育成支援」が掲げられています。将来にわたり、AIやIoTなどのTECHを用いて起業する人・最先端の研究開発からの起業などは国を挙げて支援されるため、社会に必要とされる人材だということになります。

起業するためには、秀でた技術力・問題発見能力・解決能力・人脈・強靭な精神力が必要になります。これらの要素は短期的に身につくものではなく、幼い頃からIoT技術を用いて問題解決する経験を積むことが必要だと感じています。

次に掲げられているのが「IoT時代のネットワーク・セキュリティなどの高度人材の確保」です。具体的には、ネットワークの運用・管理ができる人材育成などが行われる予定です。

IoTといっても、開発・分析など様々な分野がある中で、セキュリティ分野の人材は明確に必要と明示されていることが、ここから読み取れます。この背景には、セキュリティ分野がわかりづらい、とっつきにくい分野であるため担う人材が少ないという問題があると思います。逆に言えば、この分野でスペシャリティになれば、「食いっぱぐれることはない」ということを意味していると思います。

社会人がAI/IoT時代に活躍できるようなスキルアップ

次に時代に則した人材のスキルアップを支援する施策を紹介します。この施策は、地方やユーザ企業で不足している社会人の教育を目的に行われるものです。具体的な施策数は3本あり、詳細は以下の通りとなります。

一つ目は「データサイエンティストの育成」です。講座や学習サイトの提供を行うことで、データサイエンス力の高い人材を育成する施策となります。

二つ目は「地方公共団体職員等のICTスキルの向上」です。自治体CIOや地域におけるオープンデータ人材の育成のために研修を実施する施策となります。

最後が「IoTのユーザ起業等におけるスキル向上」です。これは、ユーザー企業等の経営者などに対する講習会を実施する施策となります。この施策から、今後顧客データ等を扱う企業経営には情報スキルが必要になることを意味しています。逆にいうと、情報スキルがない経営者は時代に取り残されるといっても過言ではないでしょう。

社会全体のAI/IoTリテラシーをあげる施策

最後の「社会全体のAI/IoTリテラシーをあげる施策」として挙げられている施策を紹介します。この施策の目的は、社会全体がAIやIoTの恩恵を受けるためには、全ての人に情報リテラシーが必要になるという考えのもと設けられています。具体的な施策は2つあります。

一つは地域ICTクラブの構築です。これは地域で子供や学生だけでなく、社会人や高齢者がプログラミングなどのICTを楽しく学び合い新しい時代の絆を作るための仕組みづくりを施策として行います。

二つ目は、ICT利活用推進委員の創設です。高齢者がICT機器の操作等について気軽に相談できる地域の身近な存在として、ICT活用推進委員の制度を創設しようというものです。ICT機器に不慣れな高齢者でも、生活の質を向上させる機器の利用に必要な情報リテラシーを地域の力で担うという構想になります。

このように、国を挙げて行う施策をチェックしても、今後、いかに情報スキルが必要になるのか分かっていただけたのではないでしょうか。

翻ると、情報リテラシー・スキルはこれからの時代を生きていく中で必須になるということになります。これから出てくる便利なICT機器を利用するにも情報リテラシーが必要になる時代です。子供達に今からAI/IoTに触れさせることが、生き抜く力を培うことになります。

海外のプログラミング教育

私が2020年に小学校でプログラミング教育が義務教育化されることを知った時に、真っ先に気になったのが諸外国のプログラミング教育の実体についてでした。

なぜなら、プログラミングの義務教育化の流れを作るにあたって、文部科学省は世界の先進事例を調査し、その事例を元に日本教育の現場で「どんなプログラミング教育を」「どのように進めていくのか」についてまとめてくると考えたからです。

これらの諸外国の動向を踏まえて、日本の教育戦略として、プログラミング教育にどこまで注力するのか予想することができます。

今回は諸外国のプログラミング教育事情について、イギリス・ハンガリー・エストニアについてご紹介します。お時間のない方は、ハンガリーのプログラミング教育事情だけでもチェックすると、日本のプログラミング教育の遅れがどれほどのものか体感していただけると思います。

イギリスのプログラミング教育

Google Map より

イギリスでは、2014 年 9 月より教科「Computing」がスタートし、CS(Computer Science)、IT(Information Technology)、DL(Digital
Literacy)の 3 分野で構成されています。その中で、プログラミングは CS に分類され、アルゴリズムの理解、プログラムの作成とデバッグ、論理的推論によるプログラムの挙動予測、情報技術の安全な利用法、コンピュータネットワークの理解などに当てられています。

イギリスのプログラミング指導時間

指導時数は、一般的にプライマリースクールでは 1 時間 / 週(約 30 時間 / 年)程度となっています。(学校により異なる)

イギリスのプログラミング指導者体制

指導者は、プライマリースクールは、教科「Computing」における専任の教員はおらず、学級担任が指導しています。一方、セカンダリースクールは基本的に教科「Computing」については専任の教員が指導しており、専任教員が足りない場合は理科や数学の先生が兼任しています。

「諸外国におけるプログラミング教育に関する調査研究」報告書01より

ハンガリーのプログラミング教育

ハンガリーのプログラミング教育

ハンガリーでは、2003年からインターネット検索やペインティングと言ったITツールの使用を行う授業を小学1〜4年生を対象に行なっており、現在では「Informatika」を 1-12 年生で連続して行なっています。

「Informatika」は① IT ツールの利用法、②アプリケーションの知識、③問題解決のツールとテクニックとしての IT、④ 21 世紀におけるインフォコミュニケーション、⑤情報社会、⑥図書館情報学、という 6 つの分野から構成されています。

プログラミングに関しては特に③の「問題解決のツールとテクニックとしての IT」の授業において、論理的思考、アルゴリズム化、基本的な一連の手続き及び制御構造を学び、実際にコンピュータプログラムを作成しテストするところまで学びます。

また、異なる分野の問題や現象をプログラムを用いて学びシミュレーショ
ンし、アルゴリズムを理解してプログラムを作成する、及びアプローチ手法の開発において、問題解決も学ぶ機会があります。

学年別には 1-4 年生では簡単なアルゴリズムを習得し、5-6 年生では簡単なプログラムの実装、検証、7-8 年生ではステップバイステップの計画手順、9 年生以降では改良の原理まで学ぶカリキュラムが組まれており、世界でもプログラミング教育へ投資が積極的な国です。

ハンガリーのプログラミング指導時間

指導時数は、1-4 年生:0.5 時間 / 週、5-10 年生:2 時間 / 週、11-12 年生:3 時間 / 週という時間数になっています。

エストニアのプログラミング教育

エストニア

エストニアでは、2012 年 9 月より教科「ProgeTiiger」がスタートし、2013 年に HITSA(Hariduse Infotehnoloogia Sihtasutus)に統合されました。選択教科である「Informatics(Informaatika)」の中でプログラミングが扱われており、ロボットプログラムゲームプログラムを用いて、プログラミングに興味を持たせる活動に重点を置いています。

2015年1月時点では、今後プログラミング教育が義務教育化する予定はありませんでした。

エストニアのプログラミング指導時間

指導時数は、学校によって異なるため一般的な指導時間は把握できていません。

エストニアのプログラミング指導者体制

指導者は、プログラミング教育の専任教員がいる場合と、数学など他教科の教員がプログラミングを教える場合があります。

小学生はロボットプログラミングから始めるべきか?

我が子にプログラミング教育を受けさせたいと思った時に、プログラミングに限定した教室に通わせるか、ロボットプログラミング教室から通わせるか迷われている方もいると思います。

ロボットプログラミングの魅力

私の経験から言うと、小学生であれば積極的にロボットプログラミングから始めることをオススメします。なぜなら、ロボットプログラミングは、「目の前にあるものがプログラミングした内容にそって実際に動く」ことにあり、これほどプログラミングの面白さを体感できるものはないからです。

プログラミングの面白さをダイレクトに感じる体験によって、お子さん自身が自分の身の回りにある様々な機械にもプログラミングが使われていることを知り、プログラムというものをより身近に感じることができるようになります。

私自身、大学(国立大学の情報通信学科)で初めてプログラミングを学んだとき、プログラミングした内容がパソコンの中だけで完結してしまうため、「プログラミングしている、それが何かを動かしている」という凄さが体感につながらずモヤモヤした経験があります。

この経験から、物理などの基礎知識がある大学生でも、プログラミングが体系的にどのように動いているのかを体感できなければ、プログラミングを学ぶモチベーションに火がつきにくく、学ぶ意欲を継続しにくいという面があることに気づきました。

もちろん、小学生向けに作られているビジュアル型プログラム言語(Scratch)などは、プログラミングを学ぶ意欲に火を付ける・その意欲を維持できる仕組みづくりに配慮されているのですが、実際にプログラミングを学んだ体験者としては、ロボットという目の前にある物が実際に動くことほどプログラミングの凄さや面白さが体感出来るツールはないと思っています。

なので、私の子供にも、プログラミングの導入としてはまずロボットから入らせようと考えています。(2歳の女の子と0歳の男の子がいます)

ロボットプログラミングには2つに大別できる

と言っても、小学生向けロボットプログラミング教材には、ロボットの組み立てから始めるもの・すでに出来上がったロボットにプログラミングをしていくものに大別でき、どちらを選択すべきか分からない方も多いのではないでしょうか。

では、組み立てから入るロボットプログラミングと、すでに組み立てられているロボットプログラミングは、どちらを選択すべきか、という議論ですが、結論、子供の得手不得手に合わせて選択するのが良いと思っています。

組み立て式ロボットプログラミングに向いている子供

それまで、ブロックなどで組み立てる力がある子・楽しめる子ならば、組み立て式のロボットプログラミングがオススメです。得意分野から始めることができるため、プログラミングへの興味喚起しやすいのが一番の理由ですが、世界的に見てハード分野につよい日本の市場で将来大いに活躍することが期待できます。

実はIT業界では、グーグルやマイクロソフトなど、ソフトウェア分野でアメリカが強いイメージがありますが、ハードウェア分野では日本はまだまだ負けていません。日本に残された世界でリードできる分野で活躍できる人材は引き手数多になることは間違いありません。もし、ブロックなど組み立てる力がある子・得意な子であれば、ぜひ一度ロボットプログラミングを挑戦させてあげると良いと思います。それだけの価値があります。

組み立て式ロボットプログラミングに向いていない子供

一方、組み立てる経験が少なかったり苦手な子には、すでに組み立てられているロボットにプログラミングする方をオススメします。もともと組み立ての素地がない子供に、ロボットの組み立てもプログラミングも一気に学ばせようとすると、どちらも頓挫する可能性が高ま流ので私ならそのようなアプローチはしません。

まずは、プログラミングした内容に沿って目の前のロボットが動くことに面白みを感じ、そして次にプログラミングを使って色々試してみたいというステップを踏むことを最優先すべきです。

と、ここまでプログラミングの導入としてロボットプログラミングが最適である理由を自分の経験からまとめましたが、ロボットプログラミングは、値段がそれ相応にかかるため、できるだけ長く汎用的に使えるロボットプログラミングツールを選びたいと思うのが親心。

そこで、私の独断で推薦したいロボットプログラミングについてご紹介します。

IE-Schoolとは?(中学校・高校のプログラミング教育事例)

IE-Schoolとして指定されている小学校6校のプログラミング教育事例を紹介しましたが、そこでは様々な成果と課題が浮き彫りになっていました。

ここでは、中学校・高校で指定されている8校で先行して行われているプログラミング教育の内容と、実施した後に見えてきた成果・課題についてご紹介します。

  • 静岡英和女学院中学校・高等学校
  • 古河市立三和東中学校
  • 筑波大学附属駒場中学校
  • つくば市立春日学園義務教育学校
  • 神奈川県立住吉高等学校
  • 早稲田大学高等学院
  • 北海道浦河高等学校
  • 宮城県多賀城高等学校

静岡英和女学院中学校・高等学校 

プログラミング教育の内容

静岡英和女学院中学校・高等学校では、中学校2年生を対象に総合的な学習の「地域について考えよう」というテーマでプログラミング教育が導入されました。

地域について調べる際に、タブレットを使用して情報取集し、発表する際にプレゼンテーションアプリを使用しました。

プログラミング教育の成果

静岡英和女学院中学校・高等学校で実施されたプログラミング授業の成果として、以下の点が報告されています。

  • 全教員が同じ方向を向いて情報活用能力の育成ができた点
  • 情報モラルやセキュリティに関して、保護者からタブレットなどの使用に関するヒアリング・生徒からのSNS情報モラルに関するアンケートから年齢に応じた内容を明確化でき、年間計画に組み込んで実施することができた点
  • タブレットなどのICT機器を利用することによる教員負担の軽減
  • タブレットなどに不慣れな教員に対してICT支援員がフォローしたことで、ICT機器を利用した授業の展開ができた点

プログラミング教育の課題

一方で、プログラミング教育の課題として挙げているのは、以下の点でした。

  • ICTを活用してさらに情報活用能力を育成する方法論を展開していく点
  • 情報モラルの年間計画に関しては、より専門的な見解を組入れるために静岡大学と連携していく点

古河市立三和東中学校 

プログラミング教育の内容

古河市立三和東中学校では、中学校1年生を対象に数学の「量の変化と比例、反比例」の時間を使ってプログラミング教育が導入されました。

具体的には、(1)アプリを使って図やグラフを作成する(2)作成した図やグラフをアプリを使って共有・比較する(3)お互いの表やグラフの相違点・共通点を見つけ考察する、といったプログラミング教育が実施されました。

プログラミング教育の成果

古河市立三和東中学校で実施されたプログラミング授業の成果として、以下の点が報告されています。

  • カリキュラムと発達段階に合わせた情報活用能力を明確化し、年間指導計画に落とし込んで実践できた点
  • 情報ネットワークやICT機器といったハード面に関して、企業の協力を得て整えることができた点
  • アプリの導入によって、アダプティブな授業展開・協働的な授業展開が可能になった点
  • 環境整備によって、生徒がPCやタブレットなどのICT機器に触れる時間が増え、情報活用能力の育成に大きく寄与している点
  • 有識者やNPO法人といった外部要員がプログラミング教育の現場に入ったことによって、より専門的なプログラミング授業を行うことができた点
  • タブレットなどのICT機器を利用することによる教員負担の軽減
  • タブレットなどに不慣れな教員に対してICT支援員がフォローしたことで、ICT機器を利用した授業の展開ができた点

プログラミング教育の課題

一方で、プログラミング教育の課題として挙げているのは、以下の点でした。

  • 他の学校と連携して、義務教育期間である9年間を通してプログラミング教育の研究を展開していく点
  • 生徒の発達段階に合わせた情報モラルの展開だけでなく、保護者に向けた情報発信もしていく点
  • 小学校・中学校でそれぞれに育成すべき情報活用能力を見極めて授業に取り入れていく点
  • 現在、ICT支援員に生徒と同じPC環境が整っておらず、ICT支援員がアプリの内容を熟知できていないため、ICT機器の基本的な操作スキルの支援のみに留まってしまっている点

筑波大学附属駒場中学校 

プログラミング教育の内容

筑波大学附属駒場中学校では、元来、クラウド環境を利用した学習を行っており、蓄積された活動記録や成果物はポートフォリオに落とし込み、その後の学習にも行かせるような素地ができていました。

そんな中、IE-Schoolに指定された年度は、中学校3年生を対象に総合的な学習で行った「物理パラメータとアルゴリズムの改良に着目した着陸ゲームの開発」の時間を使ってプログラミング教育が導入されました。

具体的には、(1)ゲームのアルゴリズムと変数を理解する(2)プログラムの仕組み理解(3)ゲーム実行のための合理的な方法を知る(4)プログラミングを使用て技術的な問題解決する、といったプログラミング教育が実施されました。

プログラミング教育の成果

筑波大学附属駒場中学校で実施されたプログラミング授業の成果として、以下の点が報告されています。

  • 次年度実施の単元開発、授業設計、教材開発(インタフェースの改良、ライントレースカーの改良、制御モジュールの改良)ができた点
  • 数学科(代数)、技術・家庭科、情報科、総合的学習の時間、特別活動に絞り、資質・能力ベースの情報活用能力の整理ができた点

プログラミング教育の課題

一方で、プログラミング教育の課題として挙げているのは、以下の点でした。

  • 数学(幾何)、理科等にも調査対象を広げ整理する点

つくば市立春日学園義務教育学校 

プログラミング教育の内容

つくば市立春日学園義務教育学校では、第8学年を対象に数学の「一次関数」の時間を使ってプログラミング教育が導入されました。

具体的には、比較検討の場面でタブレットを用いて学習支援システムを活用することで、個人の意見をそれまでよりもスピーディに見比べ、より良い解決方法について議論できるようなプログラミング教育が実施されました。

プログラミング教育の成果

つくば市立春日学園義務教育学校で実施されたプログラミング授業の成果として、以下の点が報告されています。

  • 筑波大学協力の下、ラズベリーパイを活用した「つくば市の中学生向けのネットワーク接続、サーバー構築体験イベント」が開催できた点
  • 電子黒板を活用したプレゼンテーションの手引きの作成ができた点
  • 推進校内における学園内プレゼンテーションコンテスト開催し、市内小中学生約1万人の参加を募ることができた点

プログラミング教育の課題

一方で、プログラミング教育の課題として挙げているのは、以下の点でした。

  • 小中学校9年間を通して情報活用能力を含めた21世紀型スキルが体系的に身に付けられるような指導計画を策定する点
  • 小中学校および特別支援教育におけるプログラミング教育をさらに推進し、教科の中でのプログラミング学習の位置づけを図る点
  • 電子黒板を使ったプレゼンテーションコンテストを市外にも拡大し実施する
  • 現在、ICT支援員に生徒と同じPC環境が整っておらず、ICT支援員がアプリの内容を熟知できていないため、ICT機器の基本的な操作スキルの支援のみに留まってしまっている点

神奈川県立住吉高等学校

プログラミング教育の内容

神奈川県立住吉高等学校では、高校2年生を対象に地理歴史科・世界史Aの「ヨーロッパ・アメリカの工業化と国民形成 」の時間を使ってプログラミング教育が導入されました。

具体的には、タブレットを使用して学習した内容をまとめ、他者と協働で課題を作り、電子黒板を使用して生徒と教師の双方向の授業スタイルをとったプログラミング教育が実施されました。

プログラミング教育の成果

神奈川県立住吉高等学校で実施されたプログラミング授業の成果として、以下の点が報告されています。

  • 「LEGOマインドストーム」を導入し、「社会と情報」でプログラミング教育を実践できた点
  • 外部連携機関と共同した情報セキュリティに関する授業を実践した点
  • 外部有識者を講師とした、プログラミング的思考を含む情報活用能力の育成や、アクティブ・ラーニングの視点に基づく授業づくりなどの教員研修を実施ができた点

プログラミング教育の課題

一方で、プログラミング教育の課題として挙げているのは、以下の点でした。

  • 次年度の年間指導計画の作成、教材の開発などに発展的に取組、情報活用能力の体系的な育成を図れぞれに育成すべき情報活用能力を見極めて授業に取り入れていく点
  • 現在、ICT支援員に生徒と同じPC環境が整っておらず、ICT支援員がアプリの内容を熟知できていないため、ICT機器の基本的な操作スキルの支援のみに留まってしまっている点

 

早稲田大学高等学院 

プログラミング教育の内容

早稲田大学高等学院では、高校1年生を対象に社会と情報の時間で「情報社会の光と影」という単元でプログラミング教育が導入されました。

具体的には、ウェブサイトに掲載されている多種多様な情報から適切に主査選択する、コンピュータを使用して発表に使用するスライドの作成といったプログラミング教育が実施されました。

プログラミング教育の成果

早稲田大学高等学院で実施されたプログラミング授業の成果として、以下の点が報告されています。

  • 校内体制として、次年度のカリキュラム作成、教材の作成、他教科や課外活動との連携強化ができた点
  • 環境整備として、電子テキストの導入・使用、無線LAN/クラウド型アプリケーションなどを整えることができた点
  • 大学や企業から協力体制を整えることができた点
  • 公開授業の実施や、情報関連学会への発表ができた点

プログラミング教育の課題

一方で、プログラミング教育の課題として挙げているのは、以下の点でした。

  • 全ての教科・教師がプログラミング教育が実践できていない点
  • 現在は大学運営のネットワーク環境を利用しているので、今後は高等学校独自の環境配備をしていく点

北海道浦河高等学校 

プログラミング教育の内容

北海道浦河高等学校 では、高校3年生の国語・現代文Bの時間を使ってプログラミング教育が導入されました。

具体的には、7グループに2台ずつタブレットを用意し、1台は情報蒐集用、1台は資料作成用に用いたプログラミング教育が実施されました。

プログラミング教育の成果

北海道浦河高等学校 で実施されたプログラミング授業の成果として、以下の点が報告されています。

  • 指導モデルを開発できた点
  • 遠隔授業システムによるプログラミングに関わる授業について、指導モデルを開発できた点

プログラミング教育の課題

一方で、プログラミング教育の課題として挙げているのは、以下の点でした。

  • 教科横断的な情報活用能力の育成について、各校の成果と課題等について検証する必要がある点
  • 各教科の取組を俯瞰する全体計画を作成し、平成28年度に作成した年間指導計画を見直す手段としての有用性を検証する必要がある点
  • 指導モデルの有用性を検証する必要がある点

宮城県多賀城高等学校 

プログラミング教育の内容

宮城県多賀城高等学校では、高校1年生の災害科学・自然科学と災害A の時間を使ってプログラミング教育が導入されました。

具体的には、クローンについて賛成グループと反対グループに分け、タブレットを使って動画を確認したのち、賛成反対の意見をまとめて発表させ、情報が意思決定に与える影響について考察するというプログラミング教育が実施されました。

プログラミング教育の成果

宮城県多賀城高等学校で実施されたプログラミング授業の成果として、以下の点が報告されています。

  • 他教科と学習内容を共有できた点
  • 遠隔授業システムによるプログラミングに関わる授業について、指導モデルを開発できた点

プログラミング教育の課題

一方で、プログラミング教育の課題として挙げているのは、以下の点でした。

  • 各教科・科目における学習目標の定着に寄与する効果を具体的に評価する手法が未だ確立できていない点
  • 教材提示ソフトや動画、シミュレーションを用いた授業を行っていが、その使用が学習効果に及ぼす影響を示す指標が確立できていない点
  • タブレットの活用効果を具体的に評価する手法を探っていくこと

IE-Schoolとは?(小学校のプログラミング教育事例)

IE-Schoolとは、2020年から始まる小学校プログラミング教育過程の義務教育化を踏まえて、事前にプログラミング教育の指導体制や授業設計について現場研究が行われている学校を指します。

IE-Schoolに指定された14校

IE-Schoolとして指定されたのは14校あります。

今回は、そのうち小学校をメインとした6校のプログラミング教育の先行事例をご紹介します。先行してプログラミング教育を実行していく中で見えてきた成果と課題についてもそれぞれの学校別にチェックすることができます。

  1. 一宮市立末広小学校
  2. 立命館小学校
  3. 草津市立志津南小学校/草津市立玉川小学校
  4. 信州大学教育学部附属長野小学校
  5. 福岡教育大学附属久留米小学校
  6. 新居浜市立金子小学校

一宮市立末広小学校 

プログラミング教育の内容

一宮市立末広小学校では、小学校5年生を対象に家庭科の授業で「めざそう 買い物名人」というテーマで、(1)様々な商品情報が入っているタブレットPCを使って、買い物をする際に必要な情報を自分たちで選び、(2)グループで選んだ商品を、タブレットPCを使って発表させる、という授業を展開しました。

プログラミング教育の成果

一宮市立末広小学校で実施されたプログラミング授業の成果として、以下の点が報告されています。

  • 子供達がScratchを使用する中で試行錯誤しながら意欲的に授業に取り組めた点
  • タブレットなどのICT機器を利用することによる教員負担の軽減
  • タブレットなどに不慣れな教員に対してICT支援員がフォローしたことで、ICT機器を利用した授業の展開ができた点

プログラミング教育の課題

一方で、プログラミング教育の課題として挙げているのは、以下の点でした。

  • Scratchなどのビジュアルプログラミング言語を使用せずにプログラミング的思考を育成する方法の検討
  • 年齢に応じた情報モラルの授業展開になっていたかを再検討する必要がある

このように、実際にプログラミング教育を開始するにあたり、「ICT機器への対応」「ICT支援員のフォロー内容」「Scratchなどのプログラミング言語への対応」「情報モラルの教育内容」などが検討事案・課題に上がっていることがわかります。

立命館小学校 

立命館小学校では、小学校6年生を対象に情報の時間で「プレゼンテーション講座」という単元でプログラミング教育を実施しました。

その内容は、(1)一人1代台のタブレットを用いてプレゼンテーションしたい内容についてスライドを作成し、(2)その内容を発表発表させる、という授業を展開しました。

プログラミング教育の成果

立命館小学校で実施されたプログラミング授業の成果として、以下の点が報告されています。

  • 学年ごとに育成すべき情報活用能力の明確化
  • 教員の方に対して、国内外の先行事例の共有と新しいツールを使用することによって、様々な教科で本校独自のプログラミング教育が展開された
  • 文部科学省が公表しているプログラミング教育で育成したい「三つの柱」などを踏まえた年間教育計画の構築

プログラミング教育の課題

一方で、以下のような課題も挙げられています。

  • 本年度に策定した年間指導計画や指導内容などを、外部の評価も踏まえて改善していくこと
  • 外部の評価は、公開授業や学会の発表などを検討している

草津市立志津南小学校/草津市立玉川小学校 

草津市立志津南小学校/草津市立玉川小学校 は、2つのプログラミング教育事例があります。

一つは、小学校5年生を対象に図画工作・総合的な学習の時間で実施した「コマコマアニメーション」と題して楽しいデジタル作品をつくるプログラミング教育を実施しました。

この授業では、一人1台のPCでScratchを用いてアニメーションを作成しました。この作成にあたっては、立命館大学情報理工学部システム学科の協力を得て、分からないことがすぐに聴ける環境配備を行ないました。

二つ目の事例は、小学校6年生を対象に理科の授業で「てこのはたらき」を学ぶ際にプログラミング教育を実施しています。

この授業では、タブレットPCに示したてこの動きに関する予想や結果を、画面共有システムを活用してスピーディに共有して問題解決に役立てたり、タブレットを使用して情報の収集等に使用しています。

プログラミング教育の成果

プログラミング授業の成果として、以下の点が報告されています。

  • プログラミング的思考を学ぶ問題に、繰り返し挑戦することで問題解決能力、想像力、論理的思考が育成された。
  • 教員の方に対して、国内外の先行事例の共有と新しいツールを使用することによって、様々な教科で本校独自のプログラミング教育が展開された
  • 文部科学省が公表しているプログラミング教育で育成したい「三つの柱」などを踏まえた年間教育計画の構築

プログラミング教育の課題

一方で、以下のような課題も挙げられています。

  • プログラミング教育を単発で終わらせるのではなく、継続して行う仕組みづくり

信州大学教育学部附属長野小学校

信州大学教育学部附属長野小学校では、小学校3年生を対象に理科の授業で「ロコの家まで届くかな 光る豆電球」という単元でプログラミング教育を実施しました。

その内容は、豆電球の電気をモデル化するにあたって動画やアニメーションを用いて実施しました。

プログラミング教育の成果

信州大学教育学部附属長野小学校で実施されたプログラミング授業の成果として、以下の点が報告されています。

  • Scratchを使用したプログラミング活動も実施できた。
  • 協働学習システムを使用して、子供達の意見の吸い上げ、整理、比較しながら示せる方法は、様々な教育現場で応用できそうであるという発見。

プログラミング教育の課題

一方で、以下のような課題も挙げられています。

  • 教科学習や総合学習の時間の中で、目標を達成するツールとしての利用が実施できなかった。

福岡教育大学附属久留米小学校 

福岡教育大学附属久留米小学校では、小学校5年生を対象に情報科の授業で「パスワードの管理」という単元でプログラミング教育を実施しました。

その内容は、パスワードの管理方法についてPCを利用して学び、実際にPCを使ってパスワード設定するという内容です。

プログラミング教育の成果

福岡教育大学附属久留米小学校で実施されたプログラミング授業の成果として、以下の点が報告されています。

  • プログラミング教育として身につけさせたい能力や素質を明確にすることができた。
  • 授業を受けた子供達のフィードバックをアンケートを用いて実施することができた。

プログラミング教育の課題

一方で、以下のような課題も挙げられています。

  • どの教科・どの単元にプログラミング教育を関連づけて実施するかが不明確だった
  • 低学年向け教材が未開発な点

新居浜市立金子小学校 

新居浜市立金子小学校では、小学校5年生を対象に総合的な学習の時間・体育科の授業で「命と命でつながろう・けがの防止」という単元でプログラミング教育を実施しました。

この授業では、より良い生活をするための情報収集や、発表の場で使用するプレゼンテーションツールをプログラミング要素として取り入れています。

プログラミング教育の成果

新居浜市立金子小学校で実施されたプログラミング授業の成果として、以下の点が報告されています。

  • プログラミング教育から、相手がいること、相手からフィードバックを受けることを通して、自分の成果物を振り返ることができる点
  • アクティブラーンングの観点から創造的な学習活動にすることができる点。
  • 積極的にICT機器を導入することにより、授業の質向上や教員の意識変革に寄与した。その結果、教員のICT機器の使用率が上がり効果的にICT機器を授業に取り入れることができるようになった点。

プログラミング教育の課題

一方で、以下のような課題も挙げられています。

  • 教員全体で、プログラミング教育の目的などを統一して情報活用能力について具体的にわかりやすくまとめる必要性がある
  • 情報モラルに関する教育内容、その年間計画の策定の必要性がある

教育の ICT 化に向けた環境整備5か年計画(2018 ~ 2022 年度)

2020年に小学校でプログラミング教育が義務化されるにあたり、2018年から様々な環境整備が始まっています。そのための予算は5年間で1,805億円と言われています。これらの予算の中で、どのような環境整備が進められるのでしょうか。

文部科学省が、2018年4月に公表した「教育の ICT 化に向けた環境整備5か年計画(2018 ~ 2022 年度)」では、学校教育における以下の点において環境整備を進めていくとしています。

コンピュータの整備

子供達が使用するコンピュータが3クラスに1クラス分ほど整備されます。この数は、子供一人が1日1回は授業などでコンピュータに触れる機会が設けられる台数となっています。

また、プログラミング教育を指導する先生用のコンピュータは一人に1台ずつ整備されます。

大型提示装置・実物投影機

コンピュータの画面を大画面に映し出す大型提示装置や実物投影機を各普通教室に1台、特別教室用に6台配置するとしています。

インターネット環境

インターネットを使用する授業に備えて、超高速インターネット・無線LANシステムが100%整備されることになっています。

統合型校務支援システム

統合型校務支援システムとは、教員の業務負担を軽減と授業内容の質向上を目的に作られたシステムで、平成29年3月1日時点で、全国の学校全体の48.7%で導入されています。

実際に、この統合型校務支援システムを導入したことにより、教師一人当たりの勤務時間数を年間200時間も削減できた事例もあり、プログラミング教育がスタートしても、教師にとって新たな負担が大きならない対策として効果が期待されています。

しかしながら、統合型校務支援システムの調達コストや運用コストが原因で約半数の学校では今でも統合型校務支援システムが導入されていません。この状況を改善すべく、教育の ICT 化に向けた環境整備5か年計画では、統合型校務支援システムを100%整備することを盛り込んでいます。

ICT支援員

もう一つ、教師の負担軽減策として導入が決定しているのがICT支援員です。ICT支援員とは、プログラミング教育が開始されることで現場に導入されるIT機器の管理や準備業務などを専門に行う人を指します。

「教育のICT化に向けた環境整備5か年計画(2018~2022年度)」では、ICT支援員を4校に一人を配置することが明示されています。

平成30年3月に文部科学表が公表した「ICT支援員の配置を」によれば、「次代を担う児童生徒を育成するこれからの学びを実現するためにICT支援員は不可欠な存在」としています。

教育のICT化に向けた環境整備5か年計画(2018~2022年度)より抜粋

その他

ここで紹介した内容以外にも、以下のような整備がプログラミング教育現場には必要だと言われています。

  • 学習者用ツール
  • 学習用サーバ
  • 校務用コンピュータやセキュリティに関するソフトウェア
  • 予備用学習者用コンピュータ
  • 校務用サーバ
  • 充電保管庫

小学校プログラミング教育の手引(第二版)の概要

平成30年3月に、文部科学省から小学校プログラミング教育の手引(第一版)(平成30年3月)が公開され、2020年から義務教育に導入されるプログラミング教育の目的や狙い、先行事例の紹介がされてきました。

これは、教育者の持つプログラミング教育への不安を払拭し、プログラミング教育の指導イメージを持ってもらうことを目的に取りまとめられています。

そしてその約8ヶ月後の平成30年11月に、小学校プログラミング教育の手引(第一版)の改訂版として「小学校プログラミング教育の手引(第二版)」が公開されました。

小学校プログラミング教育の手引(第二版)が公開された理由

第一版に加えて第二版が公開されたのは、2020年を待たずにプログラミング教育を先行的に実施する学校が増えてきており、より具体的な説明や新しい事例紹介をすることで、よリスムーズにプログラミング教育の導入が可能になると文部科学省が判断したことが理由に挙げられます。

では、どのような内容が追加されたのでしょうか。

小学校プログラミング教育の手引(第二版)のポイント

改訂のポイント1:取組事例の追加

プログラミングにおける学習活動には4つの分類がされています。

  • A.学習指導要領に例示されている単元等で実施するもの
  • B.学習指導要領に例示されてはいないが、学習指導要領に示される各教科等の内容を指導する中で実施するもの
  • C.教育過程内で各教科等とは別に実施するもの
  • D.クラブ活動など、特定の児童を対象として、教育家庭内で実施するもの

今回の改訂内容のポイントの一つ目は、A~C分類のプログラミング教育の取組例を追加したことにあります。

特にC分類(教育過程内で各教科等とは別に実施)は、学校の創意工夫によって様々な取組が考えられるため、学校の環境や教育者によって千差万別になりやすく、逆に言うと、何をしていいかわかりづらいカテゴリでもあります。そこで、より多くの事例を追加して示すことで、C分類におけるプログラミング教育のイメージを教育者に持ってもらおうという狙いが伺えます。

A分類(学習指導要領に例示されている単元等で実施)で追加された指導例

  • 総合的な学習の時間:「まちの魅力と情報技術」を探求課題として学習する
  • 総合的な学習の時間:「情報技術を生かした生産や人の手によるものづくり」を探求課題として学習する

B分類(学習指導要領に示される各教科等の内容を指導する中で実施)で追加された指導例

  • 社会(第4学年):都道府県の特賞を組み合わせて47都道府県を見つけるプログラムの活用を通して、その名称と位置を学習する
  • 過程(第6学年):児童水棺機に組み込まれているプログラムを考える活動を通して、炊飯について学習する

C分類(学習指導要領に示される各教科等の内容を指導する中で実施)で追加された指導例

  • プログラミングの楽しさや面白さ、達成感などを味わえる題材などでプログラミングを体験する例

改訂のポイント2:外部からの協力を得た事例の追加

プログラミング教育が義務教育化するにあたり、コンピュータ環境や設備を整えるのに大きなコストがかかるケースも考えれらます。

また、今までプログラミングに触ったことのない教育者もいるため、プログラミング教育のための事前準備に時間が割けるのか、実際に教えることができるのか、という不安や疑問がありました。

このように、物的・人的資源を学校だけで準備するのは難しいケースもあるため、外部から協力を得た事例を掲載しています。

例えば、プログラミング研修をする講師を呼ぶケースや、企業からパソコンなどのデバイスを貸与するケースなどです。このような外部からの教区を得てプログラミング教育を実施した事例を紹介することで、学校事情に合わせて柔軟に環境整備できる方法をチェックすることができます。

企業・地域ボランティア・団体からのサポートを得た事例

教育委員会と企業との間で包括協定を結び、「研修」「プログラミング教育の実施」においてサポートを得た事例がありました。

これによって、教育者は企業のサポートを得て、プログラミングに慣れる機会を得ることができたり、プログラミング教育の年間計画、指導方針などをまとめることができています。

ICT支援員の研修なども、企業や大学・NPO法人にサポートしてもらうことで、教育者の負担を軽減しながら質の高いプログラミング教育を提供できた事例も掲載されています。

まとめ

このように、プログラミング教育という新しい取組が全国で一斉にスタートするにあたり、学校や教育者の不安を一つずつ払拭するために必要な情報が、小学校プログラミング教育の手引(第二版)に追記されていることがわかりました。

小学校プログラミング教育の手引(第一版)の概要

2020年から小学校でのプログラミング教育がスタートします。

どうして小学校からプログラミング教育が導入される必要があるのか、その狙いはなんなのかについて、教育者や親の立場からしっかりと把握しておくことが重要です。

親としてプログラミング教育の目的を把握しておいたほうが良い理由

義務教育の中で最低限学べる範囲を把握することで、今後10年後20年後に求められる情報処理能力のどこまでをカバーできるのかがわかります。

子供の将来を考えた時に、義務教育だけでは心細いと感じるのか、ここまで義務教育でカバーしてくれると感じるのかは、プログラミング教育の環境や親御さんが持っている事前知識によっても変わってくるでしょう。

教育者としてプログラミング教育の目的を把握しておいたほうが良い理由

小学校の教育現場で活躍する教員の方々が、プログラミング教育の目的を把握することは仕事の一環だと捉えられがちですが、実際の教育現場は多忙化が問題になっているため難しいのが現状です。

そんな中、プログラミング教育の義務化が近づき、内心ハラハラしている教員の方も多いのではないでしょうか。そんな不安を抱える教育現場の先生方が安心してプログラミング教育に取り組める様に公開されているのが、まさに「小学校プログラミング教育の手引(第一版)」が公開されている目的でもあります。

まずは、プログラミング教育の狙いや目的について把握するだけでも、今持っている不安や疑問が解消されるはずです。ぜひこの機会にチェックしてみてください。

小学校プログラミング教育導入の経緯

まず押さえておきたい点は、すでに私たちの生活の中にコンピュータはなくてはならない存在になっているということです。コンピュータ無しの生活は難しくなってきています。

この様に、コンピュータによってより便利な機能をより安いコストで実現できる様になった現在ですが、その流れは、今後ますます増幅していくでしょう。

そうなった時、今よりもより身近にコンピュータが我々の生活に入り込み、そして人間がコンピュータに様々なことを指示することが当たり前になってきます。

そうなった時に、上手にコンピュータへの指示だし(プログラミング)ができるかできないかによって、子供たちの将来の可能性に大きく影響してくると考えられているため、義務教育にプログラミング教育が導入されることになりましg田。

プログラミング教育の狙い、育成したい力

小学校のプログラミング教育の狙いは、「情報活用能力を構成する3つの資質・能力」を育成することにあります。

この3つの資質・能力とは以下を指しています。

(1)プログラミング的思考の育成

プログラミング的思考とは、一言で表すと「コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力」を指します。

一例として、コンピュータを動作させるための手順を例に説明した図を紹介しましょう。

参照元:小学校プログラミング教育の手引(第一版)

つまり、

  1. コンピュータにさせたいことを明確化する
  2. やらせたいことをコンピュータに実行させるために必要な順序を考える
  3. 順序に沿ってプログラミング(命令文)を作成する
  4. プログラム内容を実行して想定していた動きをコンピュータが実行できているか確認する
  5. 改善余地がないか考え試行錯誤しながらより良い命令文に書き換える

といったプロセスを経て育まれる論理的思考を指しています。

(2)コンピュータの知識と技能の育成

コンピュータの知識とは、情報に関する法や制度、またマナーといったことだけでなく、コンピュータが社会で果たしている役割などについても知ることで問題の発見や解決に活用されていることを知ることを指します。

コンピュータの技能面では、コンピュータを使って問題解決するためには必要な手順があり、その手順を自分で導き出すことができることが主軸に置かれています。

勘違いされやすいのは、プログラミング教育の狙いとして、プログラミング言語を覚えたり、プログラミングの技能を習得することが求められていない点です。

(3)コンピュータの機能をより良い人生や社会づくりに生かそうとする姿勢の育成

最後に、プログラミング教育の狙いとして、コンピュータを利用してより良い人生や社会づくりに生かそうとする姿勢の育成につなげることが挙げられています。

この点では、情報や情報技術が便利であることを理解した上で、今抱えている様々な課題に対してコンピュータを活用して解決しようという態度育成が求められています。

また、著作権といった情報モラルや個人情報などのセキュリティに関する知識も習得することが望まれています。

プログラミング授業の事例(期待されている授業内容)

どうやって「プログラミング的思考」を育み「気付き」を促し「態度」を育めるのか?

では、どのような方法で「コンピュータはプログラムで動いていること」「プログラムは人が作成していること」「コンピュータには得意なこととなかなかできないこととがあること」を、体験を通して気付かせることができるのでしょうか。

これは、実際にプログラミング教育をプレスタートしている学校の事例をチェックするのがわかりやすいので、情報教育推進校(IE-School)の初年度の取組みをご紹介します。

一宮市立末広小学校の事例(小学校5年生・家庭科)

愛知県にある一宮市立末広小学校では、もともと平成21年度から教室でもICT機器の利用ができるように環境整備に取り組んでいましたが、実際にはその利用率は高いとは言えない状況でした。

そこで、子供たちの情報活用能力を育成するための検証研究を行うことを決め、年間計画を立てプログラミング教育へ取り組みました。その内容は以下の通りです。

「情報教育推進校(IE-School)」調査研究の成果報告書1より
「情報教育推進校(IE-School)」調査研究の成果報告書1より

このプログラミング教育の事前準備として、一宮市立末広小学校では教師に対して2つの研修を実施しています。

一つはプログラミング教育自体の研修、もう一つはタブレットPCの研修です。このように、現場で教える立場にある教育者の研修についても、研修時間や内容、誰に研修してもらうのか、など様々な前ステップが必要であることがわかります。

立命館小学校(小学校6年生・情報の時間)

立命館小学校は、2006年度からロボティクス科を設けたり、ART CALL 英語塾などの課外活動等を通してICT授業を積極的に展開しています。2012年度にはタブレットPCの導入をスタートし、2015年度からは新たにプレゼンテーション教育に力を入れるために、企業から派遣されたICT支援員と一緒になって教材研究を行なっていました。

「情報教育推進校(IE-School)」調査研究の成果報告書1より
「情報教育推進校(IE-School)」調査研究の成果報告書1より

このように、様々な学校のプログラミング教育内容をチェックしてみると、その内容の多様性に驚かれるのではないでしょうか。これは、まだ始まったばかりで試行錯誤の段階であることため、当然の展開と言えます。

小学校では、中学・高校で学ぶ「プログラムを作成する上でのアルゴリズム(問題を解決する手順を表したもの)の考え方やその表現の仕方、コンピュータやネットワークの仕組み、コンピュータを用いた問題の発見・解決のための知識及び技能等」を理解するための素地を持つ授業が求められています。

その内容や取り組み方は、ICT機器の準備や教育者の研修といった環境作りから始まり、どういった授業内容でどんなスキル・知識・能力をどのように伸ばすかは現場に依存していると言えます。

このことから想像できるのは、2020年にスタートするプログラミング教育の義務教育化によって、まさに環境や教師自身に依存したプログラミング教育が展開されると言うことではないでしょうか。

小学生のためのプログラミング基礎

小学生のプログラミング基礎について

2020年に小学生に対してプログラミング教育が義務化されます。このことを受けて、小学生にまず教えるべきプログラミングの基礎とはどんなもので、どのような方法で基礎を教えることが求められているのか気になっている方が増えています。

特に、実際に教育現場で小学生にプログラミングを教えなければいけない教員の方や、これからプログラミング知識は必須だとお気付きの親御さんにとって、小学生にとってプログラミング教育をどのように進めていくのか、提供していくのかというのは一大問題ではないでしょうか。

小学生のプログラミング基礎とは?

小学生にとってプログラミング教育の基礎は何が該当するのか見当もつかない方がほとんどだと思います。

新小学校学習指導要領では、小学生のプログラミング教育で育成したい資質・能力について以下の3つを示しています。

  1. 知識及び技能
    • 身近な生活でコンピュータが活用されていることを知る
    • 問題の解決には必要な手順があることに気づく
  2. 思考力、判断力、表現力等
    • 発達の段階に即してプログラミング的思考を育成する
  3. 学びに向かう力、人間性等
    • 発達の段階に即して、コンピュータの働きを、よりよい人生や社会づくりに生かそうとする態度を涵養する

小学生のプログラミング基礎の育成方法

また、3つの資質・能力(1.知識及び技能、2.思考力、判断力、表現力等 3.学びに向かう力、人間性等)の育成方法について以下のように規定しています。

「児童がプログラミングを体験しながら、コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付けるための学習活動」を「各教科等の特質に応じて」「計画的に実施すること」と規定しています。

小学校プログラミング教育の手引(第一版)より

この新小学校学習指導要領を読み解くと、「各教科の中でプログラミング教育を実施する」ことが明示されており、プログラミングのための教科が新しくできる訳ではないことに気づかされます。

実際に、新小学校学習指導要領では、以下の様な図を用いて各教科(算数・理科・音楽・特別活動など)の中でプログラミング教育が実施されることをイメージしています。

例えば、指導例A-①では、算数の時間に正多角形の作図を小学校5年生の時にプログラムを使って行う、などの方法が示されています。

小学校プログラミング教育の手引(第一版)より抜粋

この様に、小学校プログラミング教育の手引を見ると、成績に直結しないプログラミング教育は、塾に通わせてまで特別に学ばせる必要はない様に感じる親御さんもいるかもしれません。

しかし、実際にはプログラミングを得意とするか否かで、その後の人生に大きく影響をおよぼすのではないかと言われる様になっています。(詳細はシンギュラリティについてチェックしてみてください)

小学生にプログラミングを学ばせるなら最初が肝心

小学生にプログラミングの基礎を学ばせる際に重要なポイントが、「プログラミングに苦手意識を持たせない」ということです。

最初にプログラミングに苦手意識を持つと、後々プログラミングに接しない人生を選択しがちです。これは、英語を苦手とする人にとっては体験済みではないでしょうか。

しかし、これからの時代は、プログラミングが得意な方が有利であることは間違いありません。

だからこそ、プログラミング基礎を学ぶ時に大事なのは、プログラミングを好きになってもらうこと、楽しむことができること、苦手意識を持たないこと、が大切になってきます。

では、小学生がプログラミング基礎を学ぶ時に苦手意識を持たないようにするためにはどのようなことが重要になってくるのでしょうか。

小学生がプログラム基礎でつまづかない5つのポイント

プログラミング教育の基礎段階でつまづかない様にするためには以下の5つのポイントを押さえておくと良いでしょう。

  1. 難しいと思わせない
  2. プログラミングを通して、どんなことができるのかがわかる
  3. 実際にプログラミングを描いて動かしてみる
  4. プログラミングで作った物を他の人に見てもらう(外からの評価を受ける)
  5. プログラミングの評価を受けて、改善する機会を設ける